院長のひとりごと

イベントを終えて、直ちに反省した事、

2017年08月10日

イベントの続きです。

 

2017年8月6・7・8日、東洋鍼医学会主催、「経絡大研修会」でした。

参加者は300人超えました。

思いもよらぬ人数です。

 

札幌支部勉強会も微かですが、

上行気流が吹き始めてきたようです。

鍼灸師の中でも2,000人に一人の経絡治療家というデーターを目にしたことが最近あります。

そんな中で、

目的は「経絡脈診鍼灸師」という仲間が増えることは願ってもないことです。

 

ふたを開けてみると、特に学生受講者50名と、近年にない参加数でした。

ただ、海外支部からの参加は少なめでした。

9月オランダ支部で研修開催があるので多くの海外の方は、

そちらに参加するものと思われます。

 

私は、高等部生の講師役として参加したのですが、

 

心得の一つとして、

障害者への自分の意識を高めたいというものでした。

 

健常者はもとよりですが、

障害者の参加も多く、サポーターが必要とされております。

日常生活は勿論ですが、

今回の「奇経治療・刺絡治療」をどのようにして感触だけで、

自分の治療院でも

「眼の不自由な自分にもできるのではないか」「やってみたい」

そんな気持ちになっていただきたい

それを目的の一つに加えました。

 

講習時間にはそれぞれの班6名に眼の不自由な方だいたい2名はおりました。

「刺絡療法」には特別な鍼を使います。

「血(ち)」に対する治療法ですから、患者さんはもとより自分を守ることも必要になります。

 

しかし瀉血ではなく、刺絡は気の疎通が目的です。

幾度も繰り返お話しさせていただき、鍼の先端の感触を確認してもらいました。

 

ところで障害者の日常サポート役の顛末記です。

 

ホテルが一緒だった九州大分から参加のAさん(40歳代、女性)

サポート役のかわいい盲導犬とともに、

たったお一人で参加です。

 

パーティ会場でもご一緒のテーブルだったこともあり、

「イナトミ」ですといって横に並ぶと、心を寄せて下さり、

サポートがスムースでした。

 

帰りの羽田直行バスでもご一緒でした。

そのほかのお仲間も

ともに参加の健常者がサポートされておりました。

イナトミはホテルからの直行バス利用は初めてでした。

障害のある仲間にとってはこの上なく便利です。

 

バスは大型で乗降の最初の一段は結構高低差があり、

健常者も注意しなければ足を踏み外しそうになります。

 

羽田に到着し、

最後の不自由な仲間がおりたのを確かめて、役割を終了足を搭乗手続きへ向け、

気持ちがそこから離れたとき、

後ろから「イ・ナ・ト・ミさーん」と呼び止められた気がしました。

振り向くと、

Aさんが自分のスーツケースを探しているのです。

イナトミが彼女の手に渡すのをすっかり忘れてしまったから、

自分の前にぽつんと置かれたそれが自分のものだとは気がつかず、

立ち尽くしているのです。

 

安易に障害者のサポートを目的にしようなどと、生意気でした。

 

自分の心を向けた方向へ、全神経と五感を沿わせ、最後までやりきることができなかったのです。

でもこの失敗を無駄にしたくはないと、反省の最中のイナトミです。

 

鍼と灸、そして腕に心が伴う鍼灸師を目指す、イナトミの発信でした。

 

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